在宅介護を始める前に揃える道具リスト
必需品16選を介護士が解説
親や家族の在宅介護が急に始まることは珍しくない。
退院が決まってから慌てて準備する家庭が大半だが、事前に必要な道具を把握しておけば初日からスムーズに介護生活をスタートできる。
介護保険でレンタル・購入できるものと自費で揃えるものの区別を明確にし、無駄な出費を防ぐことが重要だ。
本記事では介護福祉士の監修のもと、在宅介護に必要な道具を優先度順に16点まとめた。
移動・歩行サポート用具
在宅介護で最初に直面するのが移動の問題。
転倒は要介護度を一気に悪化させる最大のリスク要因で、65歳以上の転倒事故は年間約80万件に上る。
手すり設置と歩行補助具の導入だけで転倒リスクを6割以上軽減できるとされている。
1. 手すり(トイレ・廊下・浴室用)
トイレの立ち上がり、廊下の歩行、浴室の出入りに手すりは必須。
介護保険の住宅改修費(上限20万円・自己負担1〜3割)で壁付け工事ができる。
賃貸の場合は突っ張り式の置き型手すりが工事不要で設置可能。
握りやすい直径32〜35mmの丸棒タイプが標準。
2. 歩行器・シルバーカー
室内では固定型歩行器、屋外では4輪シルバーカーが基本。
介護保険の福祉用具レンタル対象で、月額200〜600円(1割負担)で利用できる。
体格に合った高さ調節ができるものを選び、グリップの太さも確認すること。
折りたたみ式なら収納にも困らない。
3. 滑り止めマット・転倒防止グッズ
廊下・浴室・階段に敷く滑り止めマットは転倒予防の基本中の基本。
浴室用は吸盤付きの抗菌タイプ、廊下用は薄手のフラットタイプが段差につまずくリスクを減らせる。
1枚500〜2,000円と安価ながら事故防止効果は絶大。
ベッド・寝具まわり
介護ベッドは在宅介護の中心的存在。
背上げ・膝上げ・高さ調節の3モーター式が理想で、介護する側の腰への負担も大きく軽減できる。
要介護2以上であれば介護保険レンタルの対象となり、月額500〜1,500円(1割負担)で利用可能。
| 種類 | 機能 | レンタル月額(1割) | 対象 |
|---|---|---|---|
| 1モーター | 背上げのみ | 300〜600円 | 要介護2〜 |
| 2モーター | 背上げ+高さ | 500〜1,000円 | 要介護2〜 |
| 3モーター | 背上げ+膝上げ+高さ | 800〜1,500円 | 要介護2〜 |
4. 介護ベッド(電動リクライニング)
3モーター式なら背上げ・膝上げ・高さ調節が独立して操作でき、食事時の姿勢確保や移乗介助が格段に楽になる。
サイドレールは必ず左右に設置し、転落を防止すること。
マットレスは褥瘡予防のためにウレタンフォーム製(厚さ10cm以上)を選ぶ。
5. 防水シーツ・介護用敷きパッド
失禁や発汗によるマットレスの汚染を防ぐ防水シーツは必須。
表面はパイル地で肌触りが良く、裏面にポリウレタンラミネート加工を施した製品が快適かつ防水。
洗濯機で丸洗いできるタイプを最低3枚用意し、ローテーションで使用する。
6. 床ずれ防止マットレス(体圧分散型)
寝たきりや長時間臥床の方には体圧分散マットレスが不可欠。
エアーマットタイプは体圧を自動で分散し、褥瘡リスクを大幅に低減する。
介護保険のレンタル対象で、月額300〜800円(1割負担)で利用可能。
排泄・入浴介助用具
排泄と入浴は本人の尊厳に直結する介護場面。
適切な用具を使うことで本人の自立を最大限に支援し、介護者の身体的負担も軽減できる。
ポータブルトイレ・シャワーチェアは「特定福祉用具購入」の対象で年間10万円まで1〜3割負担で購入可能。
7. ポータブルトイレ(木製家具調)
夜間のトイレ介助を軽減する最重要アイテム。
木製家具調タイプは見た目が椅子に近く、部屋に置いても違和感が少ない。
肘掛け付き・高さ調節機能・バケツ取り外し式が使いやすい条件。
特定福祉用具購入の対象で、10万円の範囲内で1〜3割負担。
8. シャワーチェア(背もたれ・肘掛け付き)
浴室での座位入浴を安全にするシャワーチェア。
背もたれ・肘掛け付きが転倒防止に有効で、高さは4〜6段階で調節できるものが多い。
座面に穴が開いたタイプなら陰部洗浄も座ったまま可能。
アルミ製で2〜3kgと軽量な製品が出し入れしやすい。
9. 大人用おむつ・尿取りパッド
夜間や外出時の失禁対策に。
テープ止めタイプは寝たきりの方向け、パンツタイプは自力で歩ける方向け。
尿取りパッドと併用すると交換頻度を減らせてコスト削減になる。
ライフリー・アテントなど大手メーカー品が吸収力と肌触りで安定している。
食事・服薬サポート
自力での食事が難しくなった場合でも、適切な食器・カトラリーを使えば自立度を維持できる。
握力低下・片麻痺・嚥下障害の程度に応じて道具を選ぶことが重要だ。
10. 介護用食器セット(すくいやすい皿・太柄スプーン)
皿の内側に返しがついた「すくいやすい皿」は片手でも食べやすい設計。
スプーン・フォークは柄が太く滑り止め付きのものが握力低下に対応する。
コップは二重構造で取っ手付きのものが安定して持てる。
セットで3,000〜5,000円程度。
11. 服薬カレンダー・お薬ケース
服薬管理は在宅介護の盲点になりがち。
1週間分の朝・昼・夕・就寝前を区分できる服薬カレンダーは壁掛け式が見やすい。
飲み忘れや二重服用を防ぎ、ヘルパーや訪問看護師との情報共有にも役立つ。
500〜1,500円と安価だが効果は大きい。
介護者の負担軽減グッズ
介護する側の身体的・精神的負担は見過ごされがちだが、腰痛や睡眠不足で介護者が倒れるケースは非常に多い。
介護用の腰痛ベルトや移乗補助具は「介護者の健康を守るための投資」と考えるべきだ。
- ケアマネジャーに相談:要介護認定を受け、利用可能なサービスを確認
- 介護保険対象品をレンタル:ベッド・手すり・歩行器など
- 特定福祉用具を購入:ポータブルトイレ・シャワーチェアなど
- 自費で消耗品を購入:おむつ・防水シーツ・介護用食器など
- 介護者自身のケア用品を揃える:腰痛ベルト・使い捨て手袋など
12. 介護用腰痛サポートベルト
移乗介助や体位変換で腰への負担が蓄積し、介護者の約6割が腰痛を経験している。
幅広タイプの腰痛サポートベルトは腹圧を高めて椎間板への負荷を軽減する。
装着が簡単なワンタッチ式で、介護中も動きを制限しないメッシュ素材がおすすめ。
13. 使い捨てニトリル手袋
排泄介助・口腔ケア・創傷処置に使い捨て手袋は必須。
ニトリル製はラテックスアレルギーの心配がなく、フィット感も良好。
100枚入りで1,000〜1,500円、1日3〜5枚使用で1箱が約1ヶ月持つ計算。
14. 移乗補助ベルト(トランスファーベルト)
ベッドから車椅子、車椅子からトイレへの移乗時に本人の腰に巻く補助ベルト。
介護者がベルトの持ち手を掴むことで安全に身体を支えられ、抱え上げの必要がなくなる。
腰痛リスクの大幅な軽減に直結する。
よくある質問
まとめチェックリスト
- 手すり(トイレ・廊下・浴室)
- 歩行器・シルバーカー
- 滑り止めマット
- 介護ベッド(電動リクライニング)
- 防水シーツ×3枚以上
- 床ずれ防止マットレス
- ポータブルトイレ
- シャワーチェア
- 大人用おむつ・尿取りパッド
- 介護用食器セット
- 服薬カレンダー
- 腰痛サポートベルト(介護者用)
- 使い捨てニトリル手袋
- 移乗補助ベルト
- 介護用消臭スプレー
- 体温計・血圧計